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VOL.029


「クマリ」
ふれあいネパール倶楽部:太田淑樹

 私がネパール行くと、必ず行く場所がある。旧王宮広場(ダルバール スクウェア)の片隅にある「クマリの館」だ。その館には生き神様「クマリ」が住んでいる。
生き神様「クマリ」は幼い頃、カトマンズの先住民族であるネワール仏教徒の金工師のカースト、サキャ(お釈迦様の末裔と言われている)の家系から選ばれ、クマリである間は年間13日のお祭り以外はその館から出ることが許されていない。生き神様は何よりも血液の穢れを忌避するためクマリは初潮を見ることによってその地位から離れ、再び新しいクマリが選ばれる。「クマリの館」は一般にも開放されているが、そこでクマリの写真を撮ることは禁止されている。唯一お祭りの為に館から出るときに撮影する事が許されている。

 雨季の終わりの9月に「インドラ ジャトラ」と言うお祭りの3日間にわたり、盛装したクマリは山車に乗りカトマンズの町を巡行する。巡行前、クマリは国王の敬礼を受け3日目、館に帰ると国王はクマリを訪問し祝福のティカを受ける。私が訪れた年は、ギャネンドラ新国王が誕生したときだった。政権が不安定であり、且つ新国王に対する不信感が高まり警備が物々しかった。「クマリ」はカトマンズのクマリのほか、「パタン」「バクタプル」にもクマリがいるが、それらは「ローカル クマリ」と言われていて、それぞれの町の信仰的存在でもある。10年ほど前、パタンに住む友人にお願いして「ローカル クマリ」の館に入り何とか撮影に成功した。友人は幾らかは解らないが謝礼を支払っていた。「クマリ」はネパールの神秘の一つである。



太田淑樹(おおたとしき)
1948年生まれ。1970年ナショナル宣伝研究所写真部入社。新宿コシナ・フォトサロンでケニアをテーマにした「ジャンボ・ケニア」を発表。1994年医療ボランティアを中心とした「ふれあいネパール倶楽部」を設立。年2〜3回の会報誌を発行し、会員数125名。ネパールについての講演、コラム、フォトエッセイなどで活躍。
E-mail toshiki.ota@ceres.ocn.ne.jp


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